前回、椰子をモチーフとしたデザインは、それぞれとてもよく似ていることがわかりましたね。今回は椰子とデザインがとてもよく似ているモチーフ、『とうもろこし』についてご紹介します。
とうもろこしについて
パラグアイの主な産業は農業です。とうもろこしはパラグアイの先住民族、グアラニー族に伝わり、一般的な食材として用いられるようになりました。年通して気温がやや高めに推移し適度な雨量があるなど、農業生産に適した条件を持つパラグアイ東部では、大豆を表作、とうもろこしや小麦などを裏作にした二毛作の農産物生産が多くの地域で行われています。とうもろこしは、生産量の内46%が輸出、54%が国内で消費されています。街ではとうもろこし粉が量り売りされていたり、とうもろこしを使ったパラグアイ料理「チーパ」や「ソパパラグアージャ」など、とうもろこしはキャッサバと並んでパラグアイ料理で主要食材です。
ニャンドゥティモチーフをみてみましょう
こちらは椰子の花のデザインです。三段の玉留めで作った6つの椰子の花のモチーフの間に6つの鞘のモチーフが入っていますね。
こちらはとうもろこしの花のデザインです。とうもろこしの花のデザインは様々なモチーフの間によく使われるデザインです。
違いは?
とてもよく似ている椰子の花ととうもろこしの花ですが、違いはモチーフを作る時の糸の数にあります。
椰子の花は模様と模様の間に必要な本数を置いて次の模様を編み込むことです。例えば、上の図の様に3段の玉留めで作っていくときは、合計6本分糸を残して鞘などのモチーフをつくっていきます。
とうもろこしの花は、模様と模様の間には糸を残しません。玉留めは同じ場所から立ち上がり、2段以上の玉留めをする場合、それぞれの段の最初の玉留めは、同じ糸の上にあります。糸を残さなくてよいので、様々な模様の隙間に使いやすいデザインですね。
とうもろこしの花の使い方
とうもろこしの花のモチーフの活用例をご紹介いたします。最初の写真のように、とうもろこしの花のみのデザインも十分素敵ですね。間に入るデザインの本数や大きさによってとうもろこしの花の段数の違いがみられます。皆さんも是非とうもろこしの花を活用して素敵な作品をつくってみてくださいね!
とうもろこし料理~ソパ・パラグアジャ
パラグアイ料理には、とうもろこしを使った美味しい食べ物が沢山ありますが、今回は「パラグアイのスープ」と呼ばれるソパ・パラグアジャをご紹介いたします。ソパ・パラグアジャは、塩味のきいた、ふわふわした触感のとうもろこしケーキです。
なぜパラグアイのスープと呼ばれるのか?
とうもろこしの粉、牛乳、卵、チーズを使った「ティクエティ」と呼ばれるスープは、カルロス・アントニオ・ロペス大統領(1841年~1862年)の大好物でした。ある日大統領の料理人が誤ってとうもろこし粉をいつもより多く入れてしまいスープとはいえないものが出来てしまいました。作り直す時間も差し替える時間もなかった料理人は、それを鉄製のボウルに入れ、「タタクア」と呼ばれる窯の中で焼くことにしました。大統領はその出来上がった料理をとても気に入り、「ソパ・パラグアジャ」と名付けました。
材料【5人分】
作り方
参考文献
・在日パラグアイ共和国大使館リーフレット, パラグアイの郷土料理, Miryan Megumi Kumagai
・北濃 パラグアイ便り(1), 五十嵐龍夫, 2017年1月
・パラグアイに伝わる虹色のレース ニャンドゥティ, 岩谷 みえ エレナ, 2015